そんな結婚、あるワケないじゃん!
(だけど、本当に心臓がおかしくなりそう…!)


ドキドキドキドキ……

胸の中が時計の秒針並みに速い。
もしかしたら、それ以上に速いかも。


(バカ、私……緊張し過ぎなんだって……!)


相手はあの羽田だよ⁉︎
あのイケメン面でいろんな女子を相手にシてきてるって!

だから、安心して任せて大丈夫。
後にも先にも、今日が初めてで始まりだからーーー。




「上がったぞ〜〜」


ドッキーーーン!!!!



「う……うん……」


ツルッ…と滑る皿。
流しの中には何もないから割れる心配はないけど…。


「お前まだ皿洗ってたのか?何時間洗うんだよ」


呆れてるぅぅぅ。
つーか、無理もないぃぃ……。



「これが最後の一枚だから…」


その一枚をずっと洗ってたとは言い出せずに片付ける。

冷蔵庫の中からビールを取り出し、羽田はプシュッとプルタブを開けた。


ゴク、ゴク…と喉が鳴ってる。
Tシャツの隙間から見えるノドの動きを思わず凝視してしまう。



「……お前も飲むか?」


視線に気づいた羽田が缶を私に向ける。
間接キスなんてザラにしてるから今更だけど、何だかそれにも緊張する。


「い…いい……お風呂前だし……」


止めとくよ…と呟いて手を洗った。

心臓が…心臓が……と繰り返す頭の中を知ってる様に、羽田がゴホン…と咳払いをした。


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