そんな結婚、あるワケないじゃん!
「俺、先にあっちでテレビでも見とく。ゆっくり入ってこいよ。逆上せねー程度にな」


「わ、分かってるよ…!」


カラカラ笑いながら寝室へ行った。

ペソはゲージの中で居眠り中。
今日はあちこち行かされて神経使ったから、どうにもお疲れのご様子だった。



(ペソ〜〜こういう時は側にいて〜〜!)


調子のいい飼い主だと呆れながらお風呂場へ行く。

換気扇の音に混じって香る羽田のボディソープに、苦しい程の胸の窮屈さを覚えた。


今夜、この香りの中で抱かれる…。
あの、引き締まった体つきの人に……。



(ヤバい!私、マジで変だし…!)


普通の人が初めてを迎える時ってどんなの⁉︎


こんなことなら恋愛小説のそれ系のトコ、もっと読んどけば良かった。


そしたら小手先の小細工くらいには、なってくれたかもしれないのに……。




(しまった〜〜!私のバイブル〜〜!!)


今更助けを求めても遅い。
羽田は今頃、私を相手にどんなふうにしようか作戦会議でも練ってることだろう。



(何でもいいけどお手柔らかにして〜!初めてだから全部怖い〜っ!)


お湯に浸かっても頭を洗っても体を擦っても落ち着かない。


上がって最初に何て言う?


「お待たせしました…」とか変だよねぇ〜〜。



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