そんな結婚、あるワケないじゃん!
「ふぅ……」


ビール1缶飲んだくらいじゃ落ち着かねーな。
風呂に入ってる菅野は、今頃どこを洗ってるんだろう。


「ヤバい…!マジで緊張してきた…!」


あれこれ考えるの止そうと思ってたのにコレかよ。
男ってヤツはホントにどうしようもねー生き物だよ。


「もう1缶飲むか…でも、それしたら後が自信ねーし……」


こんなことならとっととヤッとけば良かったよ。
変に菅野がその気になるのを待ってたから、余計なことに気を揉む。


(そう言えばアイツ、どうしてその気になったりしたんだろう……)


今朝のことが引き金になった様な言い方してたけど、その割には帰ってからの雰囲気変じゃなかったか?
昨日までとは打って変わった顔つきしてたし、妙に明るかったよな。


(もしかしたら、あの早見って男と関係アリか?俺のいない所でまたヤツと会ったりとかしてねーだろうな…)


考え過ぎだと自分を責める。
疑いだしたらキリがねーのは、梨花の時で証明済みだ。


(あの時と同じことはしねぇって決めてるんだ。だって、菅野は梨花とは違うから……)


あどけない表情で眠る顔が浮かんでくる。
あの平穏さを保てるんならどんな事をしてもいい。


ずっと側に置いて眺めておきたいんだ。

俺だけの天使の顔をーーー。




「あ…あの……は、羽田……くん……」


震える声で呼ばれた。

振り向いた先にいた菅野は、俺の部屋着を着ていた。

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