そんな結婚、あるワケないじゃん!
「…分かった。お湯溜めてくる…」


不機嫌そうに唇を尖らせて風呂場へと向かう。
カサカサと鳴るビニール袋をしっかりと握りしめ、まるで子供みたいな感じだ。


(あれ絶対緊張してるんだよな。俺に襲われたらどうしよーとか考えてんのかな…?)


くっ…と苦笑しながら寝室へ戻った。
テレビのボリュームを下げながら、ベッドの足元に座り込む。

残念ながら今夜はそんな万全な体調じゃねぇんだ。
お笑いを見てごまかしてたけど、ホントは体がダル重で仕方ねぇ。
薬を飲んでしまったせいで、頭も瞼もひどく重たい。


(眠てーなぁ……でも、風呂上がりの美結も見てみてぇし…)


ペットボトルの水を飲みながら、さっきの慌てぶりを思い出す。

驚いたネコが背中を湾曲させた時と同じようなリアクションをしてた。
クルクルと目が丸くなってギョッとした顔だったーー。



「くっくっく……」


あいつ見てっとホントに飽きねぇ。態度がまるで中坊か女子高生みてぇだもん。


「それでも最近の女子はあそこまで緊張しないってーの!」


結構サバサバしてて、逆にリードされたりすることだってある。


「冗談で覆い被ったらどんな顔するんだろ……」


悪趣味だけどやっちまおーか。どんな反応するか見てみたい。


「今頃フロん中でどんな顔してんのかなぁ…」


テレビ見ながら笑ってるフリはしてたけど、ホントはこっちだって緊張してる。

実際アレコレ考えると堪らねーから誤魔化して逃げてただけで、なーんも頭に入ってこねぇ。

< 22 / 151 >

この作品をシェア

pagetop