そんな結婚、あるワケないじゃん!
「覗きに行ってやろうか……なんて、殺されるよな……」


男ってヤツはどうしようもねぇな。
具合は良くもねーのに、スケベなことばっか考えてる。
好きな女と同じ空間で過ごせるのなんて、ラッキー!としか思ってねぇ。


(女と一緒なんてどれくらいぶりかなぁ。あの女が最後だとしたらかなり前のことだよな……)



ぼぉ…とする頭の中に浮かんできたのは元カノの顔。
菅野よりも目がキツくて、でも、やたらに綺麗で美人だった。
外見の割に自信のない女で、「離さないで…」とよく言われた。


(美結と正反対。あいつは『離して!』ばっか言うし……)


ドングリみたいに可愛くて丸い目にツケマなんてするから見てみろよ。パンダみたいなタレ目にしか見えねーじゃねぇか。
それでなくても鼻はこじんまりとして小さいのに、余計にそれが増して見える。


(それでも可愛いーから許すけどさ……)


今夜は久しぶりにスッピンが見れる!つーか、ひょっとして初めてじゃね?
古本屋のパートしてた時も薄っすらメイクはしてたし、ナチュラル過ぎてほぼノーメイクみたいなもんだったけど。


(そう思うと最近はやっぱ頑張ってたのか。時給のいいとこ行ってシャレたかったのかな……)


俺の為にかなぁ……と呟きながら欠伸が出た。
菅野が出るまで…と、ベッドの中に潜り包んだ。


(……しまった。あいつの布団ねぇや。いいか。どうせ何もできそうにねーし、こん中で一緒に寝れば……)


「汗臭かったなぁ……後でカバーだけ替えさせよ……」


恋愛処女だからその辺くらいは気ぃ遣ってやるか。
その方がいいよな……と呟きつつ、視界は狭くなっていった。



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