香りに誘われて
「あのマンションを出る時偶然、君の彼に会って挨拶したら、
 君とは別れたって聞いて・・・うれしい気持ちと会えなくなるショックで
あの時はダメもとで告白しとけばよかったって凄く後悔していたんだ。
そうしたら2週間前に偶然同じ電車に乗っていた君を見た。
だからもし次に君に会う機会があったらどんな手を使ってもでも君と話を
しようというか・・・・勢い余って告白しちゃたけど・・・」

「どんな手を使ってもが…寝たふり?」

夏川君はばつが悪そうに頭に手をやり頷いた。

そしてめがねを外し私のそばまで来ると手を握った。

その手は汗ばむほどではないがあったかく緊張しているように思えた。

「改めて言うよ。もし・・よかったら僕と恋をしませんか?好きでした・・・ずっと」

心臓がキュンと跳ねた。

さっきまでの怒りも全て吹き飛ぶくらいの威力で心臓がドキドキしている。

さっきまで変態扱いしてたけど・・・・

今ならこの人と恋をしてもいいよね。

「・・・・恋してみようかな・・・」

不思議なことに迷いはなかった。

私の返事に夏川君の顔がパッと明るくなりうれしそうに私を抱き締めた。

「めっちゃ・・うれしい。」

ホームには誰もいなかったけどいきなりで心臓がバクバクした。

その時友樹からさっきの微かな香水の香りが鼻をくすぐった。

・・・あっ・・この香り好き・・
< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop