strange
部屋に入って、机にカバンを下ろすとさっきの杏里ちゃんの話を思い出した。

リボン…

私のリボンならまだそんな色褪せてないし。

「どこに置いたんだっけ…捨てるはずはないのよね…」


私は、なんでも捨てられずに取っておく方なのだ。

よく慧に怒られるけど…


クローゼットの中にも見当たらない。

引き出しの中も、小物入れにも…


「おっかしいなぁ、どこに置いたんだろう」

溜息をついてベッドに座り込む。

赤いリボン。

思い出そうとするのにまた白いモヤが。

去年のことをどうしてよく思い出せないのか…

授業や担任の先生、断片的な記憶はあるのに。

どうしてか抜けている部分がある。

それはどうして抜けたしまったのか。

みんなもどうして何も言わないんだろう…

いつもの日常のはずが、一つの違和感で私は奇妙な空間にいるような気持ちになる。


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