strange
赤いリボン…

私の学校は学年ごとにリボンやネクタイの色が違う。

今年は青。来年は緑のチェックだ。

そのネクタイやリボンを交換したり、好きな人のネクタイを貰ったりするらしい。

そういう噂を入学する前に聞いて、中学生の頃の私はちょっと憧れたりした。

仕方なく着替えて部屋を出ようとした時、慧が私の部屋のドアを開けた。


「遅いよ、腹減ってんだから。早く降りて来いよ」


不機嫌そうな顔。


「あ、ごめん。リボン探してて。杏里ちゃんにあげようと思ったんだけど…見当たらないの」

さっきの不機嫌はどこへ行ったのか、慧の寂しそうな顔が胸に突き刺さる。


「沙良、リボン…探しても出てこないよ」

慧が遠くの方を見ながらそう言った。

「どうして…」

聞いちゃいけないような気がした。


「…あれは、あれはもう捨てただろ?汚れたとか、なんかで」

慧の言うことを信じなきゃいけないんだろう。

そう思った。


「そうだったっけ?忘れちゃった…」

笑おうとした。

笑えなかった。
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