strange
慧の顔だ。

もう何年も見てきた慧の顔。

「沙良!」

私を抱き起こす慧の腕。


こんなに大きくなったけど、不安でいっぱいの涙目に小さい頃の面影がある。


慧ごめんね…不安にさせて。


「慧、大丈夫だよ…」


慧の頬をそっと撫でると、慧は少し切なそうに、でもホッとした表情で私を見つめた。


「沙良起きれるか?」

私の支えながら起き上がらせて、

「もう帰ろうか」

と言って、自転車を起こした。


自転車が少し歪んで車輪から変な音がする。


胸騒ぎがする。

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