strange
家に着いて擦りむいた慧の腕を見たママが驚いて救急箱を持ってくる。


「沙良が重すぎたんだよ」

慧は意地悪な顔をする。


「ちょっと!私のどこが重いのよ」

プリプリする私をママは呆れ顔で小さい子どもを諭すように言った。

「沙良も、もう後ろに乗るの卒業しなさいよ」

まるで子どもじゃないの。

「うぅ…はぁい」

口をとがらせて返事をした。


慧の自転車の様子を見る為に玄関を出た。

車輪を見たところで、何がどうなっているのかはわからないけど。

庭の倉庫にパパの工具があったはず。


倉庫を開けること自体、久しぶりだった。

倉庫の奥の方に何か…ある。

胸がソワソワする。

手前にある物を掻き分けながら奥へと向かった。

自転車だ。
まだ綺麗でそんなにホコリもかぶっていない。

一体なぜここに?
誰のもの?

自転車に名前らしいものが見えた。

スマホをポケットから出して、ライトで照らす。


「大崎…沙良…?私の、自転車…」

私、自転車に乗れないのに。
このサイズといい大人用だ。

ホコリもかぶっていないのは、最近ここに入れられたから?

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