あまつぶひとしずく
ぱくりとゼリーを食べる。
爽やかなさくらんぼの味が口の中に広がった。
「んー、美味しい」
静音に対してお礼を言おうとして、あたしは声を失う。
どうしたらいいかわからなくなって、静かに目を見開いた。
「っ、……」
彼女は、唇を噛み締めて、震えていた。
「し、静音⁈」
慌ててスプーンを置き、彼女の様子をうかがう。
目元にはぐっと力が入っていて、わずかに涙が浮かんでいる。
「ちーちゃんは、そんなんじゃないよ。
ちーちゃんは……ちーちゃんは、優しいよ。
綺麗で、かっこよくて、可愛い女の子だよ」
「っ!」
「だからそんなこと言わないで」
静音は、泣きそうになりながら、必死であたしに訴えた。
あたしのために、まっすぐだった。
……康太も。
康太もそうだった。
中学生の時に、男子が陰であたしのことを好き勝手言っていたのをとめてくれた。
そのままのあたしを認めて、そばにいてくれた。
だからあたしは康太の隣が心地よく、友だちとしていられたことが嬉しかった。
そんな彼と同じように、少し違う形で、静音はあたしを想ってくれているんだ。