あまつぶひとしずく
静音の傲慢で、どこまでも純粋な想いが胸に突き刺さる。
まっすぐで、とても残酷な子。
だけど、そんな静音をあたしは嫌いになれないんだ。
だって静音はあたしをとても好きでいてくれる。
大切だと、康太よりもあたしのことを考えてくれる。
いつだって笑いかけてくれて、あたしのことを悪く言う人には怒ってくれて、あたしのために泣いてくれる。
こんなにも好意を向けられて、嫌いになんてなれない。
それに、あたしは知っている。
あたしを優先しようとしながら、本当は静音が康太と別れたくないと思っていることを。
長い間話を聞いていたあたしは、康太のことを想っているとわかっていた。
だから笑え。
……笑え。
静音があたしの気持ちに気づかないように。
静音が康太のこと、ちゃんと好きだって知ってるから、彼女の優しさに甘えちゃだめだ。
爪が掌に食いこむ。
だけどあたしは顔をあげ、静音の瞳から逃げないで笑みを浮かべた。
「1年以上3人でいたけど、その間のあたしが康太に恋してるように見えた?」
「見えて、なかった」
「だよね!
考えたこともなかったし、安心した!」
いつも通りのあたしのことを静音が心配そうにしている。
どんなふうに受け止めたらいいかわからないみたいだ。