あめこい。


ベリベリッ


トントン…すとん。



怒られてからというもの…


段ボールから本を取り出して、

本を揃えて、並べる。



黙々とその作業を続けてた。


そこでふと、思い出す。



…私の名前、言ってない。




「…あの、」



「…」

黙々と作業を続ける彼の横顔を眺める。



…綺麗な人だなぁ。

ほんとにそう思う。


適度に着こなされた制服も、無造作な髪の毛も彼によく似合ってる。



そんなことを思いながら、

彼を見つめていれば



「…なに、」


とこっちを向いた彼と目が合う。



……あ、名前、言うんだった。





「…あ、私、芹沢 叶愛(セリザワ トア)って言います」


ペコリと軽く会釈する。




「…あ、そう」


彼は至極興味無さげにそう一言。

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