Fiore Zattera
年齢が近いからなのか、あまり声を荒げて注意したりもしない。
今日は少しだけ、仕事をするのが好きになった。
「どうなんすかね」
「まあ、あれだよ。皆なりたいものに成れって言ってくるけどさ、なったものが成りたかったんだって言ったって怒られないよね」
「……なったものが」
成りたかったもの。
それがこの人を支えているのかもしれない。
父親が地元を牛耳っていたヤンキーで、母親が高校のマドンナだったという先輩。
高校に入って、悪い奴等と絡めばすぐにその情報は耳に入ってくる。
「あ、家こっちだから」
コンビニに着いて、先輩が俺の家とは反対方向を指す。