Fiore Zattera
放っておけば校舎に侵入してくるだろう。教師の言葉など、頭の沸いた連中に効くはずがない。
「えー……」
「陣野に電話する?」
「あーもう、頭痛い!」
何かを振り切ったように立ち上がった壱花は、顔色の悪い顔を更に怖くして、真壁を見ずに教室を出た。
「え、一人で行かせんの?」
壱花に呼びかけた男子が真壁に尋ねる。
「あたし、怖いものがふたつあるんだけど」
「おう」
「水の入った油を熱する時と、キレた壱花」
少しして、校舎から壱花が出てくる。生徒たちがそれに注目している。