Fiore Zattera
陣野の腰を掴む手はべっとりとついた血で汚れていた。
「それお前の血だろ。怪我してんじゃねえか」
「勲章の証」
「そんな顔してると菱沼クーンにも嫌われるぞ」
見えないくせにそんなことを言われた。壱花は額を大きな背中にくっつける。
「嫌われるのは嫌かも」
「そうかそうか」
「もう喧嘩しない」
「そうしろよ。心配して迎えに行く身のことも考えてくれ」
「ん、ごめんよ」
「反省しろよ、少しは」
「あれ、ばれた?」
くつくつと笑う声。掴む手は赤黒いままだが、壱花の頭痛は少しだけ緩和した。
アフォガード End.