Fiore Zattera

札付きのワルっていうものだ。

「琴さん、本面白い?」

「うん」

「俺漫画なら面白いの沢山知ってるけど。あ、今度家来る?」

「行かない」

彼のことが怖くないわけじゃない。ただ、こうして朝この場所で会うときだけ、札付きのワルがただの野良猫のように見えるだけで。

校舎の中で見かけることなんて滅多にないけれど、目すら合わない。

「また喧嘩したの?」

目の上が切れて血が出ていた。固まっていないということは、まだ出来て時間が経っていないということ。

「今回は勝った」

そういう話をしているんじゃない。


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