Fiore Zattera

休み時間は大体この二人が私の周りを占拠していてくれる。

窓の外から単車の大きい音が聞こえた。数人のクラスメイトが窓際に寄ってくる。

晴恵と真壁も興味深そうに窺っていた。

「菱沼、敵作りすぎだろ」

菱沼の名前があがった。こんなのは日常茶飯事だ。

晴恵が呆れたように頬杖をつく。ぱたぱたと団扇を煽ぐ真壁が「そういえば」と口を開いた。

「去年もすごかったらしいぞ、ガレージの二階」

「ああ、あの噂って本当なの?」

ガレージ、と聞いてうちの生徒で考えるのは、菱沼が率いる族のガレージ。
数百の単車や車が並んでいると聞いたことがある。

「噂?」


< 116 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop