Fiore Zattera
休み時間は大体この二人が私の周りを占拠していてくれる。
窓の外から単車の大きい音が聞こえた。数人のクラスメイトが窓際に寄ってくる。
晴恵と真壁も興味深そうに窺っていた。
「菱沼、敵作りすぎだろ」
菱沼の名前があがった。こんなのは日常茶飯事だ。
晴恵が呆れたように頬杖をつく。ぱたぱたと団扇を煽ぐ真壁が「そういえば」と口を開いた。
「去年もすごかったらしいぞ、ガレージの二階」
「ああ、あの噂って本当なの?」
ガレージ、と聞いてうちの生徒で考えるのは、菱沼が率いる族のガレージ。
数百の単車や車が並んでいると聞いたことがある。
「噂?」