Fiore Zattera

真壁の後輩も一緒に来ると思っていたけれど、「失礼しました」と頭を下げて自分の教室に帰って行ってしまった。

一方私は菱沼に手を引かれて歩いていた。
授業中なので廊下は静かだった。

向かう先は焼却炉のある場所。

「俺、楽しかった」

こちらを向く。手は掴まれたままで、反射的に左足を半歩引いた。

「琴さんとここで話せて」

「あ、うん」

「だから、付き合って、お願いだから。付き合って下さい、本当、付き合え」

ええ、と言葉に圧倒される。
最後命令形だったのはどうしてだろうか。

「……土下座すれば付き合ってくれる?」

頭を抱えるのは私だった。


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