Fiore Zattera
放課後の教室で、バイトが始まるまでぼーっと窓の外を見ているのが日課だった。
頭は下から数えた方が早いくらいの馬鹿だけれど、勉強する気は起きない。だから悪いんだろうけど。
悪友たちは既に学校から消えて、学校に残っているのは熱心に部活をやっている生徒たちくらいだ。
「いちか」
静かで低い声が名前を呼ぶ。
扉の方を見た。
「よ」
「暇潰しか?」
「ん」
見た目優等生。中身も優等生。
前の席の椅子に座って、背負っていた鞄を下ろした。
「ゆきは彼女待ち?」
「うん」
まだあの子と付き合っていたのか、と感心してしまう。