Fiore Zattera
幸が家にいることをすっかり忘れていた。
「ディナーは24時までだから」
「こんな時間に、危ない」
「普通」
昔と比べてここらへんは随分変わった。建物が増えただけじゃない。治安もずっと良くなった。
幸を退いて部屋にあがる。
「……え、もしかしてずっと起きてたの?」
リビングのテレビが点けっぱなし。振り向くと、当然と言った顔で「当たり前」と答える。
「そういうことしなくて良いから。明日早いんでしょう? 早く眠りなよ」
「心配だったから起きてた」
「どうもありがとう、おやすみ」