Fiore Zattera

取り敢えず入れば、と言ったけれど陣野は断った。

「思い出話もしてーんだけどさ、あんま時間なくてな。お前に聞きたいことがあって」

戻ってきたわけではないんだ、とそれを聞いて考える。

「ん」

「河内と根屋」

名前を聞いて、あたしは陣野を見ようとしなかった。代わりに幸を見る。顔色は変わっていなくて安堵する。

「お前に金借りてんのは知ってる」

「あれ、バレてた」

「アイツ等色んな所で借金してんだ。闇金にも手出して、うちの組にも追われてる」

想像以上に、二人は馬鹿らしい。



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