Fiore Zattera

ヒーターをつけてマフラーを取った。

「もう辞めるよ、本職に当人と関係あるって囲われたら嫌だし。泣きつかれても困る」

「壱花は匿いそうだけど」

「あたし、そんなに優しくない」

ヒーターの前を陣取って膝を抱えた。
幸の方を見れば、幸もあたしを見ていた。

「キレて蹴飛ばしてでも家から出す」

「流石、キレさせたら危険な女」

「なにそれ、ダサい名前つけんな」

「おー怖い」

笑って言いながら幸がテレビを点ける。あたしの傍にリモコンがあったので、いろんなチャンネルにまわしてみた。

「そういえば、家見つかった?」

「今んとこゼロ。新生活組が掻っ攫っていってるって陣野から聞いた」


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