Fiore Zattera

二人とも高校時代は陣野に媚を売って、居なくなったらあたしに集りに来た。

「今日給料日でしょ? ちょっとで良いからさ、お金貸して」

「ずっとそう言って貸してあげてるけど」

「今度ちゃんと返すから」

「身体売ってでも?」

ぴり、と空気に緊張が走った。

河内は笑わずにこちらを見る。そんな顔をされても、あたしは肩を竦めるしかない。

「お前が何しようが勝手だけど、借りたものはちゃんと返す覚悟でいるのかって聞いてんだよ」

「壱花こわあーい」

怖いのはずっと死んだ目をしている河内の方なんだけど。



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