Fiore Zattera
金の切れ目が縁の切れ目。
さっき幸に言ったことを逆にすればこうだ。
あたしはこいつらと縁を切っても良いと思って金を貸した。
河内は退かずに突っ立っている。ねえ、と呼びかける。
少しの望みを抱いた視線がこちらを向いた。
「邪魔、失せろ」
横を通り抜けてマンションに入る。すぐそこにある管理人室は空で、階段を上ろうと方向転換すると人とぶつかった。
「すみま……」
「立ち聞きしてた。ごめん」
両手を上げて降参の意を表したのは幸。
何故ここに。
呆れて溜息を吐くと、幸がスーパーの袋を持ってくれる。