Fiore Zattera
聞かれた質問に無い頭を考える。
夕日が山の向こうに沈んでいく。昨日も一昨日も見た景色なのに、違う表情をしている。
「今はそんな余裕ないかな」
周りから合コンに誘われるし、男も紹介してあげるって言われるけれど、今のあたしにそんな余裕ない。
余裕がない、というのは言い訳で、本当は興味がないんだというのは言わないことにした。
「そっか」
「ん。あ、バイト行かなきゃ」
「じゃあな、気を付けて」
「ありがと」
あたしは立ち上がって、幸に手を振った。