Fiore Zattera
コントルノ
人への侵入をここまで許したのは初めてかもしれない。
あたしが落ちたのか。寝ぼけていたのか。それとも引き摺られたのか。
隣に幸が眠っている。すやすや、と漫画なら文字が入りそうな、健やかな寝顔。
今日は定休日。起きた原因を見つけて、幸の肩を叩く。
「ん……」
「アラーム鳴ってる」
携帯を耳元に押し付ける。あたしは起き上がって自分のベッドにもそもそと戻った。
眠そうな顔をしてアラームを止めた幸が再度枕に戻ったのを見て、思わず笑ってしまった。
幸でも二度寝をするらしい。