Fiore Zattera
いつもあたしより先に起きているので知らなかったけれど、多分ギリギリの時間。
「幸、幸さん」
「はい、起きます」
「遅刻するんじゃないの」
「わかってる」
動かない。休み明けは仕事に行きたくなくなる気持ちはよく分かる。
幸の荷物はボストンバッグひとつ。お風呂は普通に使っているけれど、そういえば洗濯物ってどうしているんだろう。
「洗濯物ある?」
「んー」
アラームがまた鳴り始めた。スヌーズ機能。
流石に煩かったので、枕元にあったティッシュケースを投げるという強硬手段に出た。