Fiore Zattera
幸せな友達を見ると嫉妬する女を見たことがあるけれど、あたしは逆に幸せになる。
良い方に転がるように人生を歩んできた。これは母親のおかげだと思う。
「新菜の子だから、きっと可愛い子だ」
「絶対可愛い子、って言ってよ」
人の気配がして、振り向くと幸がいた。
「なんでその席?」
あたしの座っているところを見て首を傾げる。
「下座だから」
「の割に先に食べてる」
「居酒屋って一人じゃ来ないから、気になる料理たくさんあんの」
とんとんとメニューを突付く。幸が前の席に座った。