Fiore Zattera

コメントしづらそうな顔をさせてしまった。高校のときのあたしなんて、幸は関係ないか。

「お前、自己評価低いな」

同じ言葉を同じ日に違う人間に言われてしまうとは。

「高校時代のことは……そういえば、約束って何? 全然思い出せない」

新菜に今日聞いてみようと思っていたんだけど、忘れていた。

水を飲んで幸がグラスを置く。

「いいよ、思いだせないなら。そんな重要なことじゃなかったんだ」

「その言い方はズルい」

「恋愛してる余裕ないって、高校生にしては達観しすぎてると思った」

笑いを隠すためなのか、手の甲を口に当てている。


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