Fiore Zattera
目が合って、やっと確信を持てた。あたしは目をパチクリさせる。
「なんでここにいんの?」
「壱花に少し頼みがありまして……」
「ほう」
「泊めてください」
パン、と手を合掌させて幸が言った。
……は?
田舎と呼ばれるここらへんでは、生まれがここなら嫌でも幼馴染になってしまう。
転入生なんて片手で足りるくらい。
小学校は三つあるけれど、中学は二つ。更に高校になると公立一つのみ。
意識の高い人たちは街を出て違う私立高校へ行く。
ということで、公立はクソガキの吹き溜まりとなる。