Fiore Zattera
ぼーっと歩いていると、昨夜のことを思い出してしまう。ふわふわとしてきてしまって、頬をパチンと叩く。
携帯を出して、新菜に電話をかける。
『もしもし、何時だと思ってんのー』
「新菜、寝た」
『はあ?』
旦那に合わせて朝は早いらしい。凄む声は妊婦とは思えないけど。
「幸と」
『そういえば結構降ったよね。電車停まってるって』
「雪じゃなくて幸の方」
コンビニを横を通って店に向かう。
『え、おめでと。式はいつ?』
「驚かないの? いやもう、あたしが一番動揺してるんだけど」
『何に。あたしはずっと菱沼とくっつかないのって聞いてたじゃん』