Fiore Zattera
雪合戦できる雪じゃないな。それでも小学生は喜ぶと思う。
『たぶん、壱花に会いたかったからじゃない?』
「でも、彼女連れてきてたって」
『それ、なんか会社の同僚だったらしいよ』
は?
新菜の向こうから『まーまー!』と実緒が呼ぶ声が聞こえた。そうだった、一児のお母さんだった。
「ごめん、じゃあまた」
『うん。壱花、良かったね』
電話を切った。良かった、って。
新菜のはあたしが幸のこと好きだって、知ってたのかな。
「大丈夫っすか?」
ランチとディナーどちらも入っていたあたしに、グレ男が尋ねた。