Fiore Zattera
立ち上がって裏口から出る。後ろにグレ男がついてきていた。
「彼女が一人暮らしだったとしても?」
「まあ、それでも」
「なんで?」
駐輪場まで行く。雪の積もった日に自転車で来るって、結構命懸けだと思うんだけど。
「ホテル代もあるし、彼女送らないといけないのに」
「領地の問題っすよ。彼女の家よりホテル、自分の部屋なら尚良い。男っていうのは独占欲が強い生き物っすから」
鍵を差し込んで回す。ガチャンと音を鳴らして、自転車を動かした。
まともな答えに驚いて目をパチクリさせていれば、グレ男があたしから視線を逸らす。