Fiore Zattera
コーヒーエスプレッソ
目を覚まして、寝室からリビングにヒーターを持っていく。
既に昼を過ぎている。母親と父親の写真の水を新しく替えて、「おはよう」と言った。
コーヒーを飲んで着替えて、ふと気づく。
「あ、ヒーター点けてなかった」
それくらい今日は暖かい。破くのを忘れたカレンダーを見て、納得。
そういえば、もう春だ。
「これ、もう少しっすかね」
グレ男が焼き色を見せながら言う。あたしはキウイの皮を剥いている手を止めてそちらを見た。
「ん」
「了解っす」
オーブンに戻される天板。