Fiore Zattera
あたしの周りはこういう人間ばかりらしい。
「もしかして楽しんでる?」
『まさか、ねー』
くすくすと笑って向こうにいるらしい実緒に同意を求めている。
「部屋見つけて出てっただけ」
『付き合うってなったのに、出てくなんて菱沼って変だよね』
「居候のままは嫌なんだって」
『で、どこに引っ越したの?』
ヒーターを収納スペースに押し込む。その隣にはプラスチックの棚があって、中にはアルバムとか写真とかが沢山つまっている。
少ないけれどお父さんの写真もある。
「隣の部屋」
『あっはははは』
答えが分かっていたらしく、ケラケラと笑う声。