Fiore Zattera

駅前のホテルにでも泊まれば。

心の中で思いながら、金の無心とかじゃなくて良かったと思う自分がいる。

この歳になって、仕事に失敗したり無職になった悪友が金を借りに来ることが多くなった。

幸はそんなことしないだろうけど。

「……無理」

「一週間で良い。それまでに部屋決めるから」

「違う友達の所に当たって。ここだって広いわけじゃないし」

「リビングの端で寝かせて貰えれば十分」

土下座をしそうな勢いに、負けた。

あたしは昔から頼みごとに弱い気がする。はあ、と溜息を吐いた。

「一週間だけね」



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