Fiore Zattera
「こちらこそ、ありがとう」
「意味分かってないでしょ」
「分からないけど、俺が壱花に感謝することは沢山ある」
何それ、と笑う。
心当たりが無さ過ぎる。
「じゃあ焼酎でも飲みながらその話を聞こっか」
「その前に風呂にでも入りますか」
え、と抗議の声を上げるけれど、もう手は引かれていた。
「こういうのが可愛い返答の仕方」
「さすが優等生」
悲しみが沈むものなら、優しさは巡るものだ。
それなら、愛しさは寄り添うものなのだろう。