Fiore Zattera
エピローグ




「壱花」

教室を出て行こうとする背中を呼び止める。
いつも窓の外を見ている視線がこちらに向く。

「じゃあ、もし余裕が出来たら結婚してよ」

我ながら強引な話だと思った。

壱花は少し考える顔をして、返答する。

「じゃあ25までに貰い手がなかったら」

え、と俺が声を漏らすのを聞かずに教室を出て行く。

……絶対本気にしてないな、あれ。





卒業式が終わった後、昇降口で靴を履き替えた。

「菱沼」

振り向くと、壱花と同じクラスでよく一緒にいる女子。
壱花が一緒にいるときは話をするけれど、直接話したことはない。



< 92 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop