Fiore Zattera
真壁はローファーに履き替えてから、こちらを見る。
メイクで強調された目元が強い。
「壱花に会ってかないの?」
進路担当の教師や担任に進学を強く勧められたけど、押し切って地元じゃない企業に就職した。
うちの学校の進学率は低く、殆どが地元に就職する。田舎だからというより、偏差値が恐ろしいほど低いので進学が出来ない。
壱花も就職組。
「引っ越しの準備あるから」
「ふーん、菱沼って壱花のこと好きなんだよね?」
当たり前のように言うので、ぎょっとした。
隣に並んでこちらを見上げる目。ばさばさしていて、少し怖い。