キミが欲しい、とキスが言う
「……ベッドがいいわ」
このままここで抱かれてしまいそうだったから、そういった。
彼は小さく頷いて、私の濡れた髪や体を柔らかいバスタオルで撫でつけていく。
そして自分の体を拭いた後、ひざ裏に手を回して抱き上げた。
「きゃっ」
「ベッドがいいんでしょ」
そのまま寝室に連れていかれて、ベッドの上に落とされる。
「今夜は多分寝かせてやれないから」
そんな物騒なことを言いながら、彼は私にキスの雨を降らせた。
声が、自分のモノじゃないみたいに遠くに聞こえる。
動物的感覚の気持ちよさと、精神的感覚の安堵感がないまぜになって、私の頭の冷静な部分を覆い隠していく。
熱くて、呼吸も苦しくて。なのに、もっと触れていたい。
大好きな人とつながる喜びに、私は溺れた。
宣言通りに彼は、私の意識がなくなるまで、何度も私を抱きしめた。
体はくたくたなのにそれが少しも嫌じゃなくて、夢の中でも彼を呼んでいたような気がする。