キミが欲しい、とキスが言う
いつもは瑞菜にやられっぱなしの俺だが、なんだか今日は優位に立っている気がする。
小さく頷いた彼女を抱きしめたまま、腹を抑えていた手を少し持ち上げる。
柔らかい感触。手に余るほどは無いけれど、感度のいい瑞菜の胸。
「……やっぱりおっぱい星人!!」
「いてぇっ」
胸を抑えた俺の手は瑞菜によってひねりあげられる。
「イチくんのえっち!」
「いてぇって、離せ、瑞菜」
小さいくせに瑞菜は体術に長けている。
どうやら一瞬で形勢は逆転したらしい。
「まあでも、時間勿体ないから、一緒に入ってあげるよ」
両手をぱんぱんとはたきながら、照れくさそうな顔で言うところなんかは、やっぱりすごく可愛くて。
俺は再び調子に乗る。
「その前にしよ」
「やあよ」
「だって今欲しいし」
拗ねた顔にキスをして、脱衣所の壁に押し付けて彼女の服を脱がす。
本気で嫌なら瑞菜は俺を押し返せる力があるんだから、反撃してこないのはオッケーのサインだと解釈して、裸体の彼女を抱きしめた。
湯気のけぶる浴室で、ちょっと無理な体勢で、それでも今の気分的にはこれがあっているから攻め続ける。
恥ずかしいのなら、体のほてりも呼吸の荒さも全部お湯のせいにすればいい。
「……勢い、三人目できそうだな」
「勢いとか言わないでよね」
湯船にちゃぷんと浸かってからそう言ったら、やっぱり瑞菜に怒られた。
まあでも、幸せだから良しとしよう。