先生は私の旦那様
ホテルに着くと係の人に『部屋はこちらと隣の2部屋になります。』と案内してもらった。
碧が部屋に入ると尚樹が続いて入ろうとしたのを直寿が『待て!』と尚樹の腕を掴んだ。


「え? クロリンなに? もう俺何も食えないよ? それに昨日は寝てないから眠たいんだけど?」


あれだけ食べたのに、これからまた何かを食べようなんて誰も言わないから… 直樹の発想には驚かせられるよ。
直寿も呆れているようで大きな溜息を吐いた。


「誰が食べる話をするか! どんな腹してるんだ? お前はこっちの部屋! 俺と一緒なの!!」

「え? クロリン達夫婦で一緒の部屋で良いよ。俺は碧と一緒で良いからさ! 連れて来てもらってるのに夜まで夫婦の邪魔なんてしないよ! 俺達そんな野暮じゃ無いからさ! とうぞ夫婦仲良く夜を過ごしてください!」

尚樹はニヤッと笑って直寿を肘で突っついた。


「そんな気遣いは要らない! 碧のお袋さんに『よろしくお願いします。』と言われてるのに男子と女子を一緒の部屋で寝かすなんて出来ないだろ? 男子と言っても体はもう男だろ? それとも…」

直寿は尚樹の耳元で『ホウケイ か?』と囁いた。
そして「それなら痛くて使い物にならないと思うけど?」

すると直樹の顔が噴火するのではないかと思うほど赤くなり口をパクパクさせていた。勿論、私の顔も赤いだろう。
碧には聞こえなかった様で私と尚樹の顔を見て


「クロリン、『痛くて使い物にならない』って何が使い物にならないの? 稀美果と尚樹、ふたり顔が赤いよ! どうしたの?」

「べっ別に何でも無い! 碧、荷物置いてお風呂に行こう! ここの露天風呂凄く良いんだよ!」


『変なの』と首を傾げる碧の背中を押して部屋に入ると荷物を置くと直寿達も誘って4人で露天風呂へ入りに行く事にした。勿論、お風呂は男女別々だが。
露天風呂から部屋に戻る時碧と『布団に入って女子トークしようね!』と言っていたが部屋に戻り布団に入ったとたん眠りに襲われた。
朝も早かった事と1日はしゃぎ過ぎて疲れていたのだろう。ほとんど話をする事なく眠りについてしまった。







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