先生は私の旦那様
アンティークの壁時計は21時を過ぎていた。


遅いなーお腹空いたなぁ。………


「…みか…稀美果、風邪ひくぞ!」


直寿に肩を揺すられ直寿を待っている間に寝てしまっていた事に気がついた。


「…あれ?寝ちゃってた…」


壁時計に目を向けると23時を回っていた。


「稀美果、食事食べてないのか?」


テーブルの上の二人分の食事の用意を見て直寿は驚いているようだった。


「直寿は?」

「俺は遅くなったから済むせて来た。」

「そう……じゃー片付けるね。」


稀美果は感情を一切出さない様に言うとでテーブルの上を片付け始めた。


「稀美果、食べてないんだろ? もしかして俺を待って居てくれたのか?」

「違うわ! 今日は友達と食事して帰って来たから、食べなかっただけよ! もう遅いからお風呂に入って寝るわ!」

「稀美果?」


直寿の呼びかけに答えず稀美果はダイニングルームを出て行った。


「私達は政略結婚なんだもん。あの人だって私に愛情なんてない…ただうちの学園が困っていたから、うちの学園が欲しかっただけ。そう…あの人は偽善者なのよ!昨夜の優しい言葉も嘘! 今朝の食事だって私を手懐けるための仕業なんだわ。だから私が待っていようと気にならないし関係ないのよ……きっと…きっとそう………」



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