先生は私の旦那様
さかのぼる事半年前……



毎年行われるホテルでの豪華絢爛なパーティーに祖母や両親と一緒に私は参加していた。
このパーティーには各界から沢山の著名人が参加しているが私はこういう席は苦手で本当は出たくない。

でも……

『稀美果はうちの跡継ぎなんですからこういう場には顔を出さなくてはいけないのよ』と母に言われ渋々出ているのだ。

母は一人娘で父を婿養子に迎えている。
一人娘である私もいつかは婿養子を取る事になるのだろう。だからこういうパーティーに顔を出し未来の旦那様を探せという事なのかもしれない。しかし高校生の私にはまだ考える事など出来ない。
私は会場の端で椅子に座りただただパーティーが早く終わってくれるのを願っていた。

俯いてため息を漏らした時足元に人影が見え顔を上げると茶髪で耳にはピアス、少し軽そうな男性が居た。


「ずいぶんつまらなさそうだね?良かったら」と優しい眼差しを向けてオレンジジュースを勧めてくれた。


この人見かけと違って気遣いの出来る優しい人かも…


「有難うございます。」

「俺、光石大翔(みついしひろと)」

「あっ私は…」


彼が名乗り私も自分の名前を名乗ろうとしたら遮られた。


「円城寺稀美果ちゃんだよね?」


え?私の名前知ってるの?……



< 2 / 119 >

この作品をシェア

pagetop