先生は私の旦那様
帰りのホームルームが終わり帰る支度をしていると波瀬川君がやって来た。


「稀美果! 帰りにちょっと付き合ってよ!? 日曜日お袋の誕生日でさ、プレゼント何がいいか選んで欲しいんだよね」

「あっ私、今日デートだから無理だよ!」と碧が言う。

「碧には頼んでない!俺は稀美果に頼んでるの!」


え?どうして私なの?…と思っていると直寿が声を掛けた。


「円城寺、さっさと掃除行けよ!」

「稀美果、掃除って何? 今週当番じゃ無いだろ?」

「あっうん…朝、遅刻しちゃって…」

「え? 遅刻って朝俺と一緒だったじゃん!」

「あの後ちょっとね…」


朝、職員会議があるからと直寿はいつもよりⅠ時間早く家を出た。
私もひとりで居てもと思い早めに登校して学園長室で時間を潰していたのだ。


直寿を見ると右眉が上がっている。


ヤバイ!直寿の怒っている時の仕草だ。


「波瀬川君ごめんねじゃ!」


私は波瀬川君に断りを入れて教室を出ると急いで資料室に向かった。


今まで資料室の管理をしている先生は居なかった。と、言うより誰が担当しているのか分からなくなっていたのだ。
その為資料室の中は大変な事になっていた。そこへ直寿がうちの学園に来て資料室の担当をかって出たのである。
随分と掃除していないようで、埃も酷いが雑然と物が置かれていて何が何処にあるか分からない。
だからここにある資料を授業で使わなくなってしまったようだ。


さぁどこから手を付けようか?……






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