先生は私の旦那様
ふたりで1時間ほど掃除をすると直寿は終礼が有るからと職員室へ行ってしまった。
私も着替えを済ませ、教室に鞄を取りに戻ると波瀬川君がひとり窓際に立ってグランドを見ていた。
彼の夕日に照らされたシルエットが稀美果の胸を踊らせる。


「波瀬川君どうして居るの?」

「あっ お帰り。稀美果を待ってたんだ。プレゼントを選んで欲しいって言ったろ? 今日はサッカー部の顧問の先生が風邪で休みだったからさ、俺、部活休んだんだ。だから付き合ってよ!」


どうしよう… ふたりっきりだとまた直寿に怒られちゃうかな?…… でも波瀬川君待っててくれたしなぁ… まぁデートじゃないから良いかな?


「分かった。付き合ってあげる。」


波瀬川君のお母さんのプレゼントを買いに隣り町のデパートへ向かった。
何が良いか随分と迷ったが波瀬川君のお母さんは紅茶が好きだと言うのでウェッジウッドのティーカップをプレゼントに選んだ。


「稀美果ありがとうな!お袋も喜ぶよ!」


「お母さん喜んでくれると良いね。じゃまた明日ね」


波瀬川君は家まで送ってくれると言ってくれたが私と直寿が一緒に住んでる事がバレてしまうかもしれないので断って一人で帰って来た。

家に着いたのは19時5分だった。

玄関には直寿の革靴が綺麗に揃えられて置いてある。


「あれ? 直寿今日は早かったね? えーと…すぐご飯の用意するね! 今日はね、直寿の好きな銀タラの粕漬けだよ! それと豆腐となめこの味噌汁。 直寿なめこの味噌汁も好きだもんね? あっじゃこが有るからほうれん草とのお浸しにしようか? あっ先にお風呂に入る? あっその前に洗濯物とりこまないと…」


稀美果は後ろめたさがあり一気に話すと洗濯物を取り込みに行こうとしたら直寿に腕を掴まれた。


「稀美果、ちょっとここに座れ!」




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