先生は私の旦那様
「ここまで来たかいがあるよ。こうやって誰の目も気にしないで稀美果とキスも出来るし」


直寿は膝枕されたまま再び稀美果の頭を引き寄せ唇を重ねる。

いくら知った人が居ないからと言って度々人前でキスをするなんて… 恥ずかしすぎる。
だって、通り過ぎる人皆が見てる気がするもん。ううん、気がするんじゃなくて、見てる。……

土曜日という事で人も多く、ふたりの前を通り過ぎる人達の視線をひしひしと感じる。


「知ってる人は居ないけど、直寿…さっきから結構視線が痛いんですけど…」


中には家族連れでお母さんに手をひかれてる子供に『あっチューした!』と指をさされお母さんは子供に『見ちゃダメよ!』と言っている。あぁ本当恥ずかしい。


「気にするな! 何処の誰だか分からないんだし、こんな事は地元じゃ出来ないんだから! 稀美果?」


直寿は稀美果の名前を呼んで唇を突き出しキスをねだる。


稀美果は顔を赤くし「もう…」と言いつつキョロキョロ周りを確認し素早くチュッとリップ音を奏でた。

直寿は稀美果の挙動に「プッ」と吹き出し稀美果がキスをした事に満足したのか「良く出来ました」と微笑む。


「視線の痛さで稀美果が気を失う前に移動するか?」

直寿は起き上がりると

「次は何乗る?絶叫系以外なら何でもいいぞ!」と稀美果の手を取り歩き出した。

「なに?さっきからニヤニヤしてんだ?」と直寿に言われ稀美果は自分の顔が緩んでいたのだと分かった。

「別にニヤニヤしていたつもりは無いけど、直寿からキスのおねだりなんて初めてだったから。タコみたいな口だだたよ!」と稀美果は嬉しそうに笑う。

「おい!タコみたいって失礼だろ?」と直寿も笑う。

そして

「稀美果好きだよ」と恋人つなぎしている手にキスをする。





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