先生は私の旦那様
私達は観覧車から降りると逃げるように広場までやって来た。直寿はずっと可笑しそうに笑っている。


「もう! 恥ずかしかったんだからね! いつもはさぁ!とってもクールな先生なのに、今日の直寿は悪戯っ子みたい!」と稀美果は頬を膨らませる。

「アハハハハ悪戯っ子か! そうかもしれないな? 本当はいつも大好きな女の子を構いたくて仕方ないけど周りの目があるから抑えているんだよ! 今は周りの目を気にしなくて良いからな大好きな女の子を思いっきり構えて嬉しいよ!」


直寿は稀美果の顔を覗き込み頬にチュッとキスをする。


もぅ今日はずっと直寿にドキドキ、クラクラ、キュンキュンさせられて大変なんだから!
私の心臓今日一日持つのか心配…


「稀美果はこんな悪戯っ子の俺は嫌いか?」直寿は微苦笑する。


もうその顔反則だって!…


「意地悪!聞かなくても分かってるくせにー好きに決まってるでしょ!」と顔を赤くして頬を膨らませる。

「良かった。じゃーもっと楽しもうな!」


その時広場では子供向けのイベントが催されていた。そのイベントを見ていた女の子が

「あっお姫様のお姉さんだ!」と稀美果を指差した。

その子はメリーゴーランドで隣の馬に乗っていた女の子だった。
稀美果はメリーゴーランドでの出来事を思い出し、他にもさっきのコントもどきを見ていた人がいるかもしれないと慌てて人差し指を口に当てて

「しーお姫様じゃないよ!」と言う。

しかし女の子は

「だってここのお姫様が付けてるのと一緒だよ!いいなー」と右のこめかみの辺りを指差す。


「あぁこれかー」

稀美果はティアラの飾りの付いたヘヤピンを外すと屈んで女の子に見せた。

「綺麗だね!」女の子は瞳を輝かせている。


稀美果はそのヘヤピンを女の子の髪に付けてあげ

「はい、お姫様交代ね!」と言う。


すると女の子は「いいの?」と瞳を輝かせて聞き

稀美果が「うん、いいよあげる」と言うと

「お姉さんありがとう」とお礼を言って

喜んでお母さん達の元へ戻って行った。







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