先生は私の旦那様
稀美果は「直寿の馬鹿!」と言って
直寿から下着を奪い取り

「私、お風呂に入ってくる!!」と怒って部屋を出て行った。

週末ではあったが時間も早かったせいかお風呂はひとり貸し切り状態だった。
一枚岩をくり抜いた大岩露天風呂は、日本最大級らしく、係の人が言っていた様に庭園を眺めながら入るお風呂は本当に贅沢な時間だった。


「直寿の馬鹿!私の下着を勝手に持って来るとか有り得ないんだから!」


まぁ洗濯物を手伝ってくれてるから、直寿は気にして無いんだろうけど…
でも…それがいけないのかな…
結婚して随分経つのにキス以上求めて来ないなんて…
でも…今日はいつもの直寿と違って人前でもキスして来るし、もしかして今夜…

稀美果は頬を赤く染める。

「あぁこんな事考えてたらのぼせちゃう!また倒れたりしたら大変だからそろそろ出ようかな?」


お風呂を出て直寿が持って来てくれた勝負下着を身に着けホテルの浴衣に袖を通し肩まである髪をひとつにまとめ上げバレッタで留める。

浴場を後にするとホテルの浴衣を着た直寿が待っていた。
初めて見る浴衣姿の直寿は格好良く色気が合った。


「直寿…」


直寿はにっこり微笑むと
「食事までまだ時間があるから少し散歩しようか?」

稀美果の手から着替えを入れた手提げを持ってくれて手を繋いでくれる。
暫くすると直寿は歩みを止め

「稀美果怒ってるか?」と心配そうな顔を向ける。

「ううん…ちょっと恥ずかしかっただけ」と頬を赤らめ微笑む。

すると直寿は稀美果を抱き寄せ

「稀美果のうなじ唆る」とうなじにキスを落とす。

「あ……」


思わず出てしまった声に稀美果自身が驚いて頬を染める。


「稀美果、そんな色っぽい声で煽るなよ!俺、我慢できなくなるだろ?」


え?我慢してるの……


「そろそろ食事の時間になるな戻ろう」






< 62 / 119 >

この作品をシェア

pagetop